マルセイユ石鹸は原料を釜の中で平均95℃の熱で焚き、以下の5行程を経て製造されます。
(1) けん化: けん化は油脂とソーダの化学反応ではじまり、乳化作用によって油脂とソーダが混和され反応していきます。
(2)再添加: 油脂とアルカリ液を加え、約数十時間反応されていきます。
(3) クッキング: けん化の仕上げとし行われる。濃縮した洗浄剤を石鹸に新たに加え、数時間焚き、再添加した後、釜の底に沈澱した洗浄剤を回収する。これは次回のけん化の際再び使用されます。
(4)塩折り: 石鹸は塩水で2〜4回洗浄され、油脂に含まれる不純物とアルカリが回収されます。
(5) 精製: この行程では残存している不純物を分離し、底に残ったものを次回のために回収する。"ニガー"と呼ばれるこの不純物の分離は経験に頼っていましたが、1930年以降は化学的知識が応用され今日に至っています。なめらかな状態になった石鹸は、けん化釜の中で2日間静置した後、板上に移され、ここで棒状又は直方体に切断し、乾燥、硬化されます。反応釜......現在は新しいタンクを使っています。
【マルセイユ石鹸の原料】
マルセイユ石鹸の原料は、オリーブ油・パーム油・ヤシ油が90%、残り1%の塩に、9%の水だそうです。これに苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)や塩化ナトリウムを反応させ最終的な油の比率が72%以上になります。オリーブ油を構成している脂肪酸という成分のうち80%前後もが、人の肌になじみ易い「オレイン酸」です。そして、皮脂の中の重要な成分でもある天然の保湿成分「スクワレン」を自然な形で含んでおり、また天然の保湿成分であり洗浄成分である「グリセリン」を多く含むので「水分を肌にひきつけながら、洗浄力に優れている」のです。
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